カテゴリー「地震・原発・環境」の3件の記事

2011年5月 3日 (火)

ウラン資源

原発の状況は、日がたつにつれて「楽観できない」ということが共通認識になってきたようです。
さて、エネルギー資源という意味では原子力発電の役割は、そんなに大きくない、ということはあまり報道されていません。
右の図は、世界のエネルギー資源を図にしたものです。「隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ」(小出 裕章著 創史社 2010年12月)からの引用です。

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これを見るとウラン資源は先が無い、ということがわかります。それより石油や天然ガスのほうが、更に石炭のほうが資源の寿命が長い。

思いだすと20年前、原子核物理学者の講義を聞いたことがあります。「ウランはもうじき枯渇するので、海に無限にある水から水素をつくり水素で核融合反応を起こして発電しましょう。」

しかし、核融合反応を制御する技術は全くと言っていいほど進んでいないようです。核融合反応とは太陽が輝く火の星となる仕組みと同じです。核分裂反応である原子力発電でさえ制御できない人類が太陽のような核融合反応を制御できるとはとても思えません。

将来のない原発、汚染を広げる原発がなぜ「国策」となるのでしょうか。なぜ多くの先進国が原発を輸出したがるのでしょうか。

理由の一つは、原発がほかの発電に比べて手間がかかりノウハウが必要でお金がかかるからです。ウランの採掘濃縮は手間がかかり、発電してる最中も危険と隣り合わせですが、発電に使った後も管理が大変です。なにしろ放出する放射能が半分に減少するまででさえ1万年必要なのですから。何十年も、いやいや何万年ですからほぼ永久に管理しなければなりません。また電力会社は企業の採算のなかで管理できません。こんなことまでやっていたら赤字になって倒産します。それで国があとの管理を引き受けることになります。つまり税金を使ってその業務を行う企業にやってもらうわけです。これが利権になります。

官僚と政治家は「国策」として推し進め、「原子力は安全だ」教育が蔓延することになります。

「国策」の推進がうまくいった成果として、高級官僚は所管企業に天下ることになります。現在の東京電力の副社長、顧問には原発推進官庁である経済産業省の高級官僚が代々天下っています。全国の電力会社には何十人と天下っています。なお、さすが賢く立ち回るようで、天下り禁止期間2年間を経過した後に天下っている。法律には抵触しません。 なんともあさましい。

それよりも、もう一度図をみましょう。外側のおおきな四角の枠は太陽から一年のうちに地球に到達するエネルギーの量です。なんと大きなことか。この事実だけでも宇宙に対する畏怖を感じます。

2011年3月17日 (木)

3/15 ニューヨークタイムズ 放射能放出は数カ月続く可能性あり

ニューヨークタイムズに記事が載ったようです。

「放射能放出は数カ月続く可能性あり」と専門家が見解(2011.03.15)

ここから抜粋して引用しました。

http://www.es-inc.jp/lib/archives/110315_142811.html

デヴィッド・サンガー、マシュー・L・ウォルド
http://www.nytimes.com/2011/03/14/world/asia/japan-fukushima-nuclear-reactor.html?_r=1&emc=na&pagewanted=print

「1号機の設計に詳しい複数の専門家によれば、東京電力側にはいまや、冷却手段として放射性物質を含んだ水蒸気を定期的に放出する以外に選択肢はほとんどなく、この措置は核分裂が止まった後も1年以上続けられることになる可能性があるという。ということは、数十万人の避難住民は長期間家に戻れないことになり、風向きが変われば、放射性物質が海方向ではなく日本の都市に向かって運ばれる可能性がある。

核分裂反応が止まって原子炉の運転が停止されても、燃料は運転時の約6パーセントの熱を出している。通常は、電気ポンプによって熱水を抜き、それを冷却するのだが、今回の場合、電力供給が止まった後、このシステムが使えなかったため、海水を注入して燃料冷却を試みた。だが、これによって、炉内の圧力が上昇して、大気中に蒸気を放出し、さらに水を注入するという手法をとらざるを得なくなっている。

燃料が無傷であれば、放出する蒸気に含まれる放射性物質はわずかであるが、燃料が損傷すれば放出される蒸気の汚染度は高まる。

もう一つの懸念材料は、日本の原子炉の中にはMOX燃料を使っているものがあり、MOX燃料には再処理したプルトニウムが含まれていることだ。今回の原子炉がこのタイプであれば、放出する蒸気はより有害なものになる可能性がある。

『炉心の損傷を抑える手段として』東京電力は海水にホウ素(核反応を止める作用がある)を混ぜて注入することを計画し、12日午後10時20分にそれを開始した。

これは捨て身の行動である。海水を注入すれば発電不能になるので、廃炉を決心したということなのだ。だがこの海水注入も簡単ではない。格納器内の圧力がひじょうに高くなっているために海水注入が困難になっている。

問題をさらに大きくしているのは、原子炉内の計器が地震または津波で損傷しているようで、炉心にどのくらいの水があるかを正確に知ることができなくなっていることだ。

また、注水の作業にあたっている人々は放射能にさらされていると思われる。放射能汚染の治療を受けた作業員も複数いるという。彼らの被曝の程度がどの程度深刻なものかは不明である。     」

以上の記事は、日本国内のマスコミの報道内容よりよほど納得するものがあります。

3/16のテレビを見ていたら、原発周囲の放射線レベルが高くなり、従来の許容基準では現場作業時間がごく短時間に限られ作業がはかどらないので、許容基準を2.5倍に緩め25mSV(19日午前1時の段階で250ミリシーベルトまで緩和されている。)とし、もっと長時間作業できるようにした、と報道がありました。その際、説明していた専門家が「ガン発症リスクは高まりますが。」と控え目にコメントしていました。日本のマスコミは危険性の報道までも「自粛」して「冷静な対応」をしているようです。

2011年3月16日 (水)

3/16 地震と原発

このたびの地震、被災はまさかここまで、という被害の大きさで驚いています。被災された方々へは心からお見舞い申し上げます。1人でも多くの方の救出と、一日も早い復旧復興を祈ります。

原発の状況も日に日に悪化し当初は「安全です。安全です。状況を見極めて冷静に対応することが必要です。」とおっしゃっていた方々も、顔が青ざめる状況になっています。ネットにでていた3号機、4号機の写真を見ましたが、ボロボロでした。これでは格納容器が大丈夫であっても、付属しているポンプ、配管、機械、電気設備は破壊されたでしょう。

3月16日15時18分 には「北澤防衛大臣は、16日午後、記者団に対し、福島第一原子力発電所の3号機と4号機を冷却するため、アメリカ軍の放水車を利用して地上から放水が行われるという見通しを示しました。」という有様です。

火中の栗、ではなくダイナマイトを、おっかなびっくりマジックハンドでさわろうとするようなものです。こんなにも人間が制御できないのですから「平和利用」そのものが無理だ、ということでしょう。

放射能の人体への影響についてはマスコミは口をそろえて「健康には影響がないレベルです。」と報道していますが、間違いです。

これについては、小出裕章・京大原子炉実験所助教(原子核工学)が「福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールの水が失われているとすれば、原子炉内の燃料より量が多い分、2号機より危険が大きい。事態は米スリーマイルアイランド事故をはるかに超え、チェルノブイリ事故に近づいている。『人体に影響がないレベル』というが、急性障害が出るか否かだけで、人体にまったく影響がない放射能はない。・・」とコメントしています。

私もまったく同感です。放射能による人体組織を構成する原子、分子の破壊と、例えばナイフによる切り傷は全く異なります。手指を切っても人体の細胞は修復しほぼ完全に修復します。外見は傷が残りますが機能的には完全に。しかし、放射能は人体を通過する過程で原子、分子を強力に破壊します。そのため遺伝子、免疫などを破壊し根本的に生命力を奪うものです。ですから被ばくした放射能量に応じて健康破壊を受けることになります。あるレベル以下の量であれば影響はない、という見解も間違いです。どんな少量でも被ばくすれば、その量に応じた健康破壊を受けます。

福島の原発近辺に居住していた方々が新潟の避難施設まで避難してきて施設は満杯になっています。政府が「安全だ、健康に影響はない。」としか言わないため、これに疑念を持つ人々が増えているようです。私のいとこは郡山(福島原発の西方60㌔)に住んでいますが、子どもを遠方に避難させようとしています。子どもを持つ親としては当然の心配です。

今回の原発災害は、人間が扱いきれない原子核分裂反応を、「安全に」制御できる、と思いこんだことから始まっています。原子核分裂反応や反応粒子はとてもエネルギーが高いため、近くに存在する生物を内部から破壊します。また、人間の作り上げた機械、電子機器は長時間、高エネルギー・高温に耐えられるものはありません。必ず劣化が始ります。そのため、かならず人間の人力で、解体・処分しなければならない時期がやってきます。これは将来に重い負担を残すことになります。

今回の事故をきっかけに、原発が本当に必要なものかどうか考え直すことができれば、・・・・。